さてこんにちは。
今回はMAGICO V3の紹介になります。
とは言っても私のV3はネットワークも無ければ、ツイーターも違う全くの別物です。
なので今回はレビューではなく、折角なので分解して、色々測定してみようかと思います。
なぜこのような企画が誕生したかと言うと、「MAGICO V3の周波数特性の下限が32Hz(±2dB)がフェイクなのでは?」と言う意見をいただいたので、実際に分解して試してみようと思い、今回このような検証を行いました。
1.分解
ユニットを外すには、フロントのアルミ製のフェースパネルを開ける必要性があります。
(ツイーターはフロントから取り外しできます。)
半田を外すとこのように2つに分解できます。
個人的に感心してたのは、アルミフェースの裏側もちゃんと綺麗に仕上げてある点です。
色々フロントパネルを外すと雑になってしまうメーカーが多いので、なかなかに嬉しい驚きでした。
さすが密閉型なだけあり、お弁当箱のようなゴム製のパッキンがあり、気密性を確保しています。
またユニットに対しての磁気回路の大きさには驚きました。
ただバックプレッシャーのダスト防止用のウレタンや、ユニットを留める金具は酸化している箇所もあり、劣化している箇所もありました。
ただこんなに大きいマグネットは、男の子の心をくすぐる良いデザインです。
"Made in Israel"との表記があり、このユニットのサプライヤーはMorel社であることが伺えます。
MAGICO主催のAlon Wolfもイスラエル出身なので、何かしらの繋がりがあるのかもしれないですね。
ミッドレンジを外してみました。(ウーファーは非常に強固で外せませんでした)
2.解析
ツイーターに関しては、インピーダンスカーブや周波数特性(軸上)に変化はないので、今回はウーファー及びミッドレンジを重点的に解析しました。
2.1フリーエアーでのユニット特性(周波数特性)
・ウーファー
・ミッドレンジ
2.2フリーエアーでのユニット特性(インピーダンス特性)
・ウーファー
・ミッドレンジ
2.3TS parameters
・ウーファー
大きなネオジウムマグネットの見た目に反してQts=0.6と高いですね。
・ミッドレンジ
これもミッドレンジの割にf0が非常に低いです。
あと能率が低く、Bl=4.475しかないのも驚きです。
2.4エンクロージャーに入れた状態のニアフィールド特性(NW無し)
・ウーファー
7.5kHzに強烈なピークがありますが、ここまで再生周波数を受け持たないので問題ないですね。
・ミッドレンジ
ミッドレンジに関しては2.5kHzにディップ(恐らくエッジの逆共振?)とその上にかなりのピークが多数見受けられます。
非常にミッドレンジとしては扱い辛いユニットです.....
そうなると前回の記事のツイーターの比較でもFsがダントツで低く、再生下限周波数が一番低いScan speakにかなり部がある事が分かります。
2.5エンクロージャーに入れた状態のインピーダンスカーブ(NW無し)
・ウーファー
ウーファーをエンクロージャーに入れた時の最低共振周波数は55Hzとなっています。
Free Airのf0が43Hzにしては上昇幅は少ないですが、恐らくSdが小さいため、Vasもさほど大きくないためでしょう。
また内部に山ほど吸音材が入ってます。
この小さいエンクロージャーでfcを上げにくくする手法、実は前回追記したM&Kと同じなんですよね。
M&Kはコンプライアンスを小さくしてVasを下げてる一方、こちらはコンプライアンスで下げてるのでしょう。
・ミッドレンジ
同様にミッドレンジは80Hzとなっています。
公称クロスオーバーが200Hz(12dB/ocr,)と、fcでの音圧は十分に小さくなっているので、これに関しては特に言う事も無く、至極真っ当な設計だと思います。
2.6ネットワーク
ネットワークについても検証してみました。
かなり雑ではありますが、接触不良の感じもなかったので、良しとしましょう(呆)
音源はホワイトノイズを使用。
アンプの出力をスピーカーターミナルに入れ、その各々の帯域の出力をI/Fに入れ、Wavespectraにて波形を観測しました。
・ウーファー
・ミッドレンジ
・(一応)ツイーター
非常に(特にミッドレンジが)歪な遮断特性になっています。
ユニットの周波数特性とも1.5kHz付近はインピーダンスカーブも周波数特性のカーブの傾きも緩やかにも関わらず、このような特性になっているのは意外でした。
3.結論
結論から言えば、MAGICO V3のウーファー部分はネットワークでゲインを上げている(もしくは最低域以外を下げている)訳ではなさそうで、かつユニットも±2dBの範疇で32Hzは再生していませんでした。
しかしStereophileのV3での記事の無響室測定結果では、あながち嘘ではない測定結果となっています。
参照URL:https://www.stereophile.com/content/magico-v3-loudspeaker-measurements
なので、単純に私が所有しているV3が鳴らさなさすぎるがあまり、ダンパーが硬くなっているのかもしれないですね。
今回はあくまでも解析オンリーであってレビューではないので、この辺で。
やっぱり解析は面白いですが、大変ですね(笑)
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