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IK Multimedia - iLoud MTMレビュー





さて今回はIK Multimedia社のモニタースピーカー、iLoud MTMのレビューをします。


 MTMは私も発売当初から目を付けていましたが、想像を遥かに超える話題性がありました。そしてひょんな事からMTMを譲り受け、大体今で2ヶ月経ちました。




モニタースピーカーは今現在私が使用したのは

・Meyer Sound HD-1

・Musikelectronic Gaithain ME100(RL904)

です、この子達については追って説明します。 価格帯も大きさも全く違うので、ちょっと辛口になってしまうかもしれません。



などと思ったのですが、「MTM、超出来る子です


もちろんHD-1やME100の方が遥かに出音だけで見れば優秀ですが、それはある程度セッティングなどの造詣が深くなければ本領を発揮できません。

要するにハンドリングが容易ではないのです。



MTMが優秀なのは音もさながら、UIの出来が素晴らしく良い事。

というわけで測定結果を交えて、実際に見ていきましょう。


・目次

 1.実機の感触/使用感

 2.音質レビュー

 3.測定結果

 4.まとめ






1.実機の感触/使用感

大きさですが、iMac(27")と比較してみました。

実際にここでこのレビュー書いてます(笑)


 高さが30cmに満たないです。本当に小さいですが、先入観として”小さい”と思って買うと、結構大きく感じるかもしれません。


 そして質感ですが、樹脂製のエンクロージャーということもあり軽く、いつも使用しているモニタースピーカーであるHD-1(25kg)に慣れると、凄くチープにも感じます。



しかしこの中に

・2 × 3.5"ウーファー

・ 1"ツイーター

・低域補正のDSP

・2chの専用アンプ

が搭載されてると思うと、かえって驚きを隠せません。

半導体の技術進歩は本当に凄いですね、ムーアの法則を実感せざるを得ません。



またMTMのウリである低域補正ですが

 1.マイクをリスニングポジションにセット

 2.ボタンを押す

 3.Sine Sweepが2回流れる(この間10秒程度)

で完了します。

簡単すぎます。



 そして入力はXLR/TRS(TS)で受けられるので、プロ用の大体の機種であれば対応できます。







2.音質レビュー

まず私の環境は、iMac→(FireWire)→Apogee Duet→iLoud MTMです。


まずはポジティヴ / ネガティヴポイントを箇条書きで

・ポジティヴポイント

 ・定位が素晴らしく良い(暫定ベスト)

 ・レンジ感が本当に「サイズを超えている」  

 ・この価格帯にありがちな高域の悪い意味でのブライト感がない  

 ・纏まりが非常に良い


・ネガティヴポイント

 ・大音量に弱い

 ・ポートノイズが結構大きい


音は低域強めのマッシブ系、まさに”今時のモニター”という形です。

低域は本当にサイズを凌駕してます。


届いてまずBillie Eilish - bad guyを視聴したのですが、何かの接続ミスがあって、別なスピーカーに繋がっていると錯覚するほどのパフォーマンスです。



そして上述しましたが、このMTM一番のチャームポイントは「定位」

・どこで?

・どの楽器が?

・どの様に演奏しているのか?

が本当に明確に判ります。


「手で掴んだ様な〜」という言い回しがありますが、それはMTMの為にあると言っても良いでしょう。現在私の家の自作のメインスピーカーも定位はこのスピーカーをリファレンスとしています。


 またHD-1の様な、悪質レベルなディテールの暴き方はしないので、リスニング用途としても申し分ないです。






3.測定結果













測定条件は下記の通りです

・測定位置:ツイーター軸上50cm

・マイク:Dayton Audio - OMNIMIC

・使用ソフト:Room EQ Wizard

















・周波数/位相特性

 周波数特性及び位相特性は良好です、ただ位相特性はメーカー公表とは結構乖離しています。(300Hz以下は部屋の影響を受けます)


 カットオフのこの測定時に50Hzにしていたのですが、本当に綺麗に50Hzで落ちています。当たり前の話ですが、改めてその実力に驚きを隠せません。




・周波数対歪特性

 全帯域に渡って低歪みです、素晴らしい。




・Wavelet

最後にWaveletです。

周波数対時間のグラフであり、点線が一直線であるほど、周波数に問わず音の到達時間が一緒である事を意味し、一種理想です。


上述の通り、300Hz以下は部屋の影響を受けてしまうので乱れていますが、それより上の帯域はほぼ一直線で0.5msec.以内に収まっています。

ウーファーとツイーターのタイムアライメントの整合が良くされてます。


実は測定していて一番衝撃的なのはここでした。







4.まとめ

単純に書きます。


こんなの10万円で買えてはいけない、せめて倍値で相応。


もうこれに尽きます。


確かに大音量が出せなかったり、ミッドフィールドに比較すればローの出方もイマイチではあります。


だが使用条件が適していれば、このC/Pを凌駕するモニターは無いのではないでしょうか。


本当に素晴らしい製品が出てきた、久々にそう感じました。





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