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Radian vs JBL vs BMS

人生最後の学生生活の夏休みというのに、こんな状況下で本当に参ってしまいました。

まあ悔やんでも何も生まれないので、気楽にいきましょう。


 というわけで今回は、私が所持している2"スロート・コンプレッションドライバー3機種を紹介したいと思います。


今回は文として長いので、お時間がある際に読んでいただければと思います。


目次

1.各ドライバーの紹介

2.各々の周波数特性比較

3.周波数対歪み比較

4.測定結果 vs 聴感結果

5.まとめ



今回紹介するのは以下の三機種

左から

・Radian - 950PB

・JBL - 475Nd (2450 Special Ver.)

・BMS - 4590


 自分で言うのも何ですが、この比較は海外のフォーラムの極一部でしか話されてない内容なので、国内ではまずされないと思います。


同一環境で比較するのも、まずない話かと思います。






1.各ドライバーの紹介

ここに辿り着く方々に今更、ドライバーの説明は不要だとは思いますが、念のため。


・Radian 950PB (159,000円 / $1= ¥106)

Radian社はアメリカにある、プロフェッショナル用途のユニットサプライヤー。

かの有名なMeyer Sound社のOEMを請け負っていた実績を持っています。


同社の特徴は

・ダイヤフラムの厚みを中心部にかけて厚みを持たせる

・振動板にピュアアルミ(or ベリリウム)を採用

・従来のドライバー比で低歪を達成

です。


詳しくは日本の代理店であるKozy Studio様のHPに記載してあります。


その中で950は2"スロート、4"ダイヤフラムの最大のモデルです。




・JBL - 475Nd(価格不明)

皆様ご存知JBL、コンプレッションドライバー界の大御所です。

475NdはJBL K2 S9500 & M9500の中・高域部用途に採用されたドライバーです。


この475Nd、実はJBL 2450Jのモデファイ版で相違点は

・内磁型 (475Nd) / 外磁型(2450J)

アクアプラス塗布フラットドーム・ダイアフラム(475Nd) / リブ付きチタン(2450J)

です。


私は海外から475Ndの振動板を入手し、2450Jに移植。475化しています。

後ほど純正と475Ndの振動板との差分については記載します。




・BMS - 4590 (95,508円 / €1 = ¥126)

この中では最も新しく、そしてコンプレッションドライバーのブレイクスルーを起こしたBMS社。

特徴としては

・高分子系(カプトン)ダイヤフラム

・同軸ユニット(デュアル・ダイヤフラム)

・300~22,000Hzの驚異的な広帯域

・Xmax = ±8mm

・最大入力1300W

です。


色々とぶっ飛んでます(笑)

本当に特徴だけ見れば、上記2種類のトラディショナルなドライバーからのブレイクスルーを起こしていますね。


2way構成なので、本日は海外のフォーラムに落ちていた純正ネットワークのパターン・素子をそのまま模倣してクロスオーバー(8kHz)を付けて測定しました。






2.各々の周波数特性比較


2.1測定環境

・位置:スロート軸上1m

・マイク:OMNIMIC

・音源:Sine Sweep 200 to 20,000Hz

・使用ソフト:Room EQ Wizard(いつもお世話になってます)


2.2測定結果

・紫線:Radian - 950BP

・青線:JBL - 475Nd

・黄土線:BMS - 4590




2.3 考察

周波数特性でいけば、1kHzまでは3機種とも言うほど大差ありません。

ホーンを付けてはいないとはいえ、完全に同一環境下での比較でしたので、意外でした。


BMSは期待してほど下が伸びてはいませんでしたが、大振幅・高耐久に甘んじて300Hzクロスで、EQで無理やり補正しても問題ないです。


またBMSは1.5kHz/5kHzにて大きくディップが出来ています。

これは同軸構造特有のものかと思います、そしてRadianは4"ダイヤフラムにしては20kHzまで綺麗に伸びています。

なんだかんだでJBLが一番スムースな周波数特性と言えそうです。






3.周波数対歪み比較


3.1測定環境

測定環境は全て2の周波数特性差と同一環境です。




3.2測定結果

・黄土線:周波数特性

・黒線:全高調波歪(THD)

・赤線:2次歪

・黄土戦:3次歪

・緑線:4次歪


・Radian - 950BP



・JBL - 475Nd



・BMS - 4590


・Radian:THD/2次/3次ともにやや高め

・JBL:全帯域で2次はやや高いものの、3次はやや低い

・BMS:全帯域で2次は高いものの、3歪はかなり低い

結果となりました。




3.3 考察

ユニットの考察というのは非常に難しいです。

というのも使用方法の違いで、価値は大きく変動するからです。

特にコンプレッションドライバーのクロス付近の特性は、使用するホーンのカットオフに依存するので、尚更評価はしづらいです。


ですが、38cm+1ドライバーという、TAD 2402の様なトラディショナルな2wayで構築することを仮定するなれば

・多少凹凸はあっても、2wayで上まで綺麗に伸ばしたいのであればRadian

・周波数を優先させ、低歪を期待したいのであればJBL

・クロスを低くしたいのであればBMS一択

と言ったところでしょうか。






4.測定結果 vs 聴感結果

ここまで各ユニットに対しての定量的な側面を色々と書いてきました。

ただもう言います。


「この中だったら圧倒的にJBLの音が好きでした」


・JBLは非常に滑らかな質感で、聴き心地が良い

・BMSは非常にソリッドかつスッキリとし、情報量がかなり多い

・RadianはJBLとBMSの中間


これは

・私が最初からJBLのドライバーを使用していて耳馴染みがある

・情報量よりかはダイナミックな音を好む

という前歴と趣向によるものも多分に含まれてると思います。






5.まとめ

まとめですが、測定と聴感上の良し悪しで、正の相関がありませんでした。

もっとも私が測定に関する造詣が浅いだけだからかもしれません。


測定はシステムを構築するにあたっては、必要最低条件を満たす為のものであり、得られる情報も多分にあります。


ですが「まだ測定では解らない要素はまだまだあるのかな?」とも感じます。

(だからと言って聴感だけにも依存は出来ないですが)


オーディオは工芸品になり得る工業製品だと考えており、その為にはどちらか一方からのアプローチでは、情報量が少ない気がします。


話が逸れましたが、この様な結果となると、オーディオが本当に奥深いものだと再度痛感させられます。


まだまだ勉強していかないといけないですね。


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