ご無沙汰してます。
社会人になって一ヶ月、覚える事やる事が多いですが、今の所は何とかなっています。
集団で一つの目的に向かっていくのは難しいですね。
さて今回は、初のイギリス製のスピーカーRogers PM510。
Queenの伝記映画「Bohemian Rhapsody」でも登場した、由緒あるスピーカーの割には、そこまで名が通ってないように思います。
なのでそんな僕一押しのスピーカーシステムを、今回は紹介したいと思います。
目次
1.概要
2.オーバーホール
3.測定データ
4.聴感レビュー
5.まとめ
1.概要
Chartwell PM450の改良版とされている、BBCモニター「LS5/8」。
ユニットはユニークなプロピレン製の12"ウーファーとシルク製の1.5"ツイーターの2Wayというなかなか大胆というか、今となっては結構無理がある構成。
そのユニット群をQuadのチャンネルディバイダー/パワーアンプでドライブする、BBCモニターの中でも大型のモデルです。
そのネットワークをチャンネルディバイダーではなく、LCRネットワークで構成し、パッシブモデルとして発売されたのが、今日紹介するPM510というモデルになります。
またLS5/8やPM510にはフロントバッフルが異なるモデルが存在します。
軸外特性改善のためのものでしょうか?
まあ偉そうに色々言いましたが、今も昔もBBCモニターに憧れなどはないんですよね(笑)
ハイファイ堂様で視聴させていただいた際、その鳴りっぷりの良さに一目惚れしたにすぎません。
余談ではありますが、最近Graham Audio社がPM510の復刻版を出してるみたいですね。
良いスピーカーなので、こういった後継機の出現は嬉しいですね。
Graham Audio URL↓
2.オーバーホール
このPM510、ハイファイ堂様で聞かせていただいた時には既に売却済の状態で購入できませんでした。
また、平均中古相場も30万円を超え&個体数も相当少ないモデルであり、当時高校生でしたので(直前にAmati Homageも買ってしまってたので)、高嶺の花でした。
ただ運は循環するもので、いずれ味方になるタイミングがあります。
大学2年次の時、ジャンク品のPM510がフジヤエービック様に出ており、すぐに金額交渉をし、購入に至りました。
さて購入したのは良いものの、症状として
1.ツイーターのボイスコイルギャップズレ
2.ウーファーの固着
3.外装がボロボロ
がありました。
1に関しては、このPM510がAudax社のTW034をしており、何と驚くことに現在でもそのツイーターが販売されています。
経年劣化で高域がロールオフしてたり、色々と問題が生じてる事も可能性としては大きいので、今回は素直にAudax TW034を購入、新品にしました。
これが標準のツイーター↓
保護グリルが付いています。
音の側面からあまりメリットというメリットがないように思うので(恐らく指向性コントロールしてる感じも皆無ですし)、今のグリル無しの方が精神衛生上良いですね。
2.に関して、ウーファーはRogers純正かつリペアパーツが市場に流通してませんでしたので、軽井沢にある吉田スピーカーリペアサービス様に修理依頼しました。
ここの技術力は他と比較してズバ抜けて高いと思います。
3.については外装の補修を行いました。
まず前面のバッフルを取り外して
次にひたすらサンダーでヤスリがけ & オイル塗装
木目が綺麗に浮き出てきました。
最後に取っ手の部分もヤスリがけ&ラッカー塗装をして終了。
簡単に書きましたが、この作業で丸2日かかってます。
あとは一通りアセンブリすればリペアは終了。
身(エンクロージャー)も心(ユニット)も綺麗になりました
ネットワークですが、LCRメータで測定したらさほどCの容量抜けもなかったので、今回は手を加えてません。
3.測定データ
3.1 ニアフィールド測定
クロスオーバーはほぼ1.8kHzとなっており、これはカタログスペックの値と一致しています。
にしても低域にかけて、かなり持ち上がってますし、あまり見ていて気持ちがいいクロスではないですね。
3.2 インピーダンス測定
PM510の全面にあるポート、これ奥行きが非常に薄くて(というかフロントバッフルに穴を開けただけ)バスレフとして機能しているのか正直懐疑的なものがありました。
しかしニアフィールド特性とインピーダンス特性を見ると、約40Hzでバスレフとして機能しているようです。
3.3 Wavelet(距離:50cm)
・ツイーター軸上
・ウーファー軸上
・ウーファー〜ツイーター間
Waveletを見る限り、一番周波数特性にピーク/ディップが無く平滑なのがツイーター・ウーファー感、Aouctic-offsetが整合しているのがウーファー軸上なので、リスニングポイントはウーファー・ツイーター間からウーファーにかけてだと推測できます。
上記で紹介したGraham AudioのPM510もこのサイズにしては結構スタンドが高いようにも見えるので、そういう設計なのかもしれません。
にしても、ここまで綺麗なWaveletが観測されるとは思いもしませんでした。
想像よりちゃんとしたスピーカーですし、やはり良い音のスピーカーはそれ相応の背景があるんですね。
4.聴感レビュー
さて散々好きだの惚れたのだの言っている割に音について書いてませんでしたね。
基本的には驚くほどのオールラウンダー(現代のEDMは除く)、そして結構上流の個性を結構そのまま出します。
私の家の場合、上流がMytek ManhattanDACとAmcron K1なので、相当アグレッシブにパワフルに鳴ります。
以前LS5/8と同等のQUADシステムで鳴らした時がありました。
この時は打って変わって、非常に濃厚かつ豊かな、良くも悪くもシックでキレの悪い音という印象でした。
さすがに現代のスピーカー達と比較して、聴感上の情報量や分解能といった要素には及びませんが、躍動感や厚さ(暑さ)、余韻というよりかはシッカリ基音を鳴らすといった「音楽の楽しさを伝える」という要素が凄く強い音で、大変個人的趣向に合致した音です。
これは同じイギリス製のATC社のスピーカーもしかり、一昔前のパラダイムのモニタースピーカーに通づるものがある気がします。
実際に雰囲気が伝わるかどうかは分かりませんが、録音してみました。
曲は僕の大好きな映画Baby Driverから、一番好きなシーケンスでの挿入歌
Barry White - Never, Never Gonna Give Ya Up
5.まとめ
このスピーカーも結構鳴らし辛いというか、環境に依存してくるタイプなので(特に低域はかなり出て処理が大変なので)、Apogee同様評価はかなり千差万別になるかと思います。
ですが、ある程度手懐けることが出来れば、非常にPM510でしか味わない魅力は絶対にあります。上述してはいませんが、ウッドベースの胴鳴り感は本当にリアルで目が覚めます。
入れ替わりが激しい私のスピーカーのメンツでもこの唯一無二の個性は、まだまだ類似するものは無く、手放せません。
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