さて今回は僕が一番好きな劇場の一つ、立川CINEMA TWOのC Studioのレビューです。
ざっと立川CINEMA ONEの簡単な概要ですが、音と絵に非常に凝った、立川にあるシネコン黎明期に誕生したシネコンです。
悔しくも海老名に越されたTHX第一号も、寸分の狂いがあればこちらが第一号になってたかもしれない、そんな古い歴史と強い拘りがあります。
その次に出来たのがCINEMA TWO。
先鋭的でインターステラーを彷彿とさせる、コントラストが低く、グレーを基調としたデザイン。美術館の様で個人的には好きです。
こちらはCINEMA ONEを踏襲しつつも、一部にはスチュワートのスクリーン。
音響は全館Meyer Soundで揃えられており、ますます磨きがかかってる劇場となっています。
・機材/部屋概要
・そして今回紹介するC Studio
C studioはCINEMA TWOの中では3番目の大きさで、システムも最大館となるA StudioのLeopardに比べるまでもなく小ぶりです。
しかし私はこの劇場がCINENMA TWOの中では、一番好きです。
というより、暫定ベストです。
ここでは
・L/C/Rch:Meyer sound - UPQ-1P/900-LFC
・SR ch:Meyer sound - HMS-10
・LF ch:Meyer sound - 1100-LFC
LCRchに関しては、ほぼDisney Seaのスピーカーと一緒です。
実はMeyerは組み合わせが想定されるスピーカーとウーファーの位相差をかなり小さくしています。
これは一例ですが、LINAと言うラインアレイスピーカーと750-LFCの位相を無響室で測定したデータです。
特に90Hz~の位相差がかなり小さい事が分かります。
何がメリットかと言われたら、Xoverを安易に、そして周波数特性を平滑化できる点です。
以前のディズニーの新旧スピーカー比較の記事で、最近機種になった方が周波数特性が、かなりフラットになっていました。
元々個体差の位相差の小さいスピーカーなので、こんな事ができます↓
メインとサラウンドもハイトスピーカーも、全て異なるユニット構成のスピーカーですが、上述した特徴をもつMeyer Soundならではのコーディネートとなっています。
個人的にMeyerのフィロソフィーが詰まっているこの写真、かなり好きです。
話を戻しましょう。
スピーカーだけでなく、部屋の吸音処理の方法が非常にユニークです。
一般的には100mmのグラスウールを貼り付けるだけの処理の所が多い印象ですが、CINEMA TWOは天井のみに、楔形のウレタンの吸音材を貼っています。
響は他の映画館よりかなり長めの響です。
しかし高域しか吸えていない、独特な閉塞感をを感じている身としては、こちらの方が抜けが良くて好きです。
ただ最近A studioなどではヘルムホルツ共鳴器を用いた、低域を吸音するベーストラップの導入など意欲的なので、今後の進展が楽しみです。
(YAMAHAの消音パネルが同じ事をやってます。)
https://ccnews.cinemacity.co.jp/helmhortz-201201/
ついでにヘルムホルツの共鳴器を用いた消音器に関して、詳しいリンクを貼っておきます。
共鳴型サイレンサの高性能化に関する研究 - 法政大学
・音質・画質
今回C studioで見たのは羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)。
プロットは至極単純ですが、中国のアニメがここまでハイクオリティとは思いもしれませんでした。色んな視点から見ても面白い映画です。
特に作画が本当に凄く、戦闘シーンなどではフレームレートが48fpsになったかの様なモーションで、大画面で見るそれは、言葉では言い表せない臨場感がありました。
さてC studioを評価するのは結構難しいです。
と言うのも劇場の良し悪しというより、映画自体の良し悪しの方が強く出てしまうので、非常に評価し辛いのです。
今回の羅小黒戦記は結構高域が荒く、この調整がしてある回でも8~10kHzの辺りでかなりザラザラしてました。
UPQはそれなりに聞いてますが(つもり)、この帯域で荒い事はありませんでした。
なのでこれも映画そのものの癖なのでしょう。
良くも悪くもそのまま音を吐いてしまう、強いて言うならMeyerの個性がガッツリ出てます。
画質はとても良かったです。
CINEMA TWOで羅小黒戦記を見たのは12/2日です。
そして羅小黒戦記の存在を知って、初めて見にいったのが12/1。
つまり前日のファーストショーでMOVIX亀有にて一回見てます。
その時感じた、色乗りの悪さやコントラスト比の(体感上の)低さの一切を感じませんでした。
(距離はCINEMA TWOの方が近かったので、粗さはハッキリ見えるはずなのですが....)
・まとめ
個性豊かなCINEMA TWOのスタジオの中で(と言うより全映画館の中で)、このC studioが特に画質音質の中で特に、キレも良く素直な音だと感じます。
今でもリファレンス音源にしている、メリーポピンズ・リターンズもここの劇場で観てリファレンスになりました。
良い映画を良く鳴らす、当たり前と言う一番難しい事が出来る良い劇場だと思います。
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