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聴いてる音はスピーカーの音? or 部屋の音?

あけましておめでとうございます。

今年もゆる〜くブログを書いていきますので、お付き合いいただければ嬉しいです。


2021年の最初の記事として、「普段聴いてる音は”音源” or "部屋の反射"のどちらが支配的か?」をサブシステムの紹介を通して書こうかなと思います。





目次

1.サブシステム構成

2.諸特性

3.存在意義

4.臨界距離とは?

5.まとめ






1.サブシステム構成

iMacをトランスポートにI/F(DAC)をApogee DuetをFireWire接続で、その後チャンデバのBehringer CX2310で帯域分割。

スピーカーのHD-1とサブウーファーのMPS-5410に接続されています。



HD-1とMPS-5410がどの様な機材で、どんな特性なのか?

というレビューは既にありますので、下記をご覧ください。

・HD-1




・MPS-5410







2.諸特性

2.1 クロスオーバー

60Hz、48dB/oct.でクロスさせてます。




2.2 総合特性 @リスニングポジション

まあこんなもんでしょう。






3.存在意義

実際デスクトップオーディオであれば、正直ここまで大掛かりにする必要もありませんでしたが、このシステムは明確な存在意義があります。


例えばまずこちらをご覧ください↓

これはヴァイイオレッド・エヴァーガーデンよりViolet Snowという曲で

・上がEnglish ver.

・下が日本語版

となっています。


この上のEnglish ver.の内の黒枠で括った部分は、いわゆる「サシスセソ」の耳につく周波数の強度が強い部分です。



話を戻します。

このシステムの存在意義は「解析をせずとも、ある程度聴感で音源を評価できる環境の構築」という点です。

実際にこのシステムで聞くと、判別はかなりシビアに出来ます。

(この”サシスセソ”がかなり棘があって聞こえます)


「ではヘッドホンであれば理想的な環境では?」と言われればその通り。


ですが

・ヘッドホンの脳内定位が好きじゃない

・低域の量感が体で感じられない

という点で敢えてスピーカーの環境を構築してます。



これであればメインシステムでも代替可能ですが、一番の差は「臨界距離(Critical Distance)」です。


このCritical Distance以内にリスニングポジションを設置したかったので、サブシステムを構築しました。






4.臨界距離とは?

4.1 臨界距離って?

臨界距離(Critical Distance , 以下CD)とは「直接音の強度=反射音の強度」となる距離です。


簡単に言えば

・臨界距離 < 試聴距離→室(部屋)のキャラクターが支配的

・臨界距離 > 試聴距離→音源(スピーカー)のキャラクターが支配的

となります。


あくまで個人的な意見ではありますが、”音の鮮度感”という部分は、この臨界距離に大きく関与していると思います。


また簡単な式で導出できます。

・A:吸音総面積(m^2)

・V:室の容積(m^3)

・γ:スピーカーの指向係数

・RT60:残響時間(sec.)

とすると下記の式で定義されます。




4.2 実際にCDを算出してみる

これで一例としてTaxsis Worldのメインシステムとサブシステムで比較してみます。

まずTaxsis Worldのスペックを最初に提示します。

・V:126(m^3)

・RT60:0.416(sec.)




・メインシステム

スピーカーの指向係数についてですが、同じスピーカーでも当然ながら周波数に依存するので変動します。

メインシステムのホーンに関して、JBLのTech Sheetは本当に気が利くので、指向係数が乗ってます。(測定にはかなりの時間がかかるので、ありがたい限りです)

まあ大体γ=10ととりあえず仮定すると、CD = 3.13mとなります。


そして実際に現在音源とスピーカーの距離は6.5mとCDの倍以上の距離があるので、部屋がかなり支配的となります。




・サブシステム

Meyer SoundのHD-1は指向係数は記載されてません(普通載ってませんw)

というわけで算出します。

・垂直指向性をθ

・水平思考性をφ

と置くと、指向係数Q(=γ)は下記の方程式で導出できます。

(古い資料からの引用なので、画像が荒いです。申し訳ありません。)


Meyer Sound HD-1の指向性は

・θ=60°

・φ=120°

となります(メーカー公表値。実際はかなり狭指向性です)


今回はメーカーの公表値ではありますが、実測でOn-Axisから-6dB低下するOff-Axisのアングルをそれぞれ垂直をθ、水平をφと定義されるようです。


なのでバッフル面積<<<<<<<波長の場合は回折が生じるので、Q=1(Omnidirectional)となります。

(部屋の影響で指向性が付くので、これも部屋と音源と周波数の三位一体で考えなければならないので面倒くさいですね。)



上記からQ ≒ 6.92となり、CD=2.61mとなります。

そして現在の音源〜視聴距離が0.7mです。


この条件下では、十分にスピーカーが支配的です。

(実際にデスクトップPCやロングデスクによる反射の影響もあるので、あくまで2.61mというのは理論値です。)


余談ですが、以前の記事で紹介したBarronの修正理論を用いれば距離対SPLの関係で、自分で導出した指向係数のダブルチェックを行えます。



今回のCDはHD-1の指向特性と、Taxsis Worldの部屋の特性から算出されたものですが、より直接音の割合を増やす(CDを大きくする)には

・吸音する

・狭指向性のスピーカーを使用する

・軸上にセッティングする

事です。



ただOff-Axis、Acoustic-offsetやハース効果の事を考えると、ウーファー/ツイーターの距離が短く、バッフル面積が狭いモニターが良いです。

(MTMとか、The Onesとか......)


またDutch&DutchやKiiなどのエンドファイヤーを用いて、低域まで指向性制御しているモデルだと、CDが周波数に依存しなくなり、より算出しやすい&設置しやすいというメリットがあります。




・では何故HD-1なのか?

単純に音が好きだからです。






5.まとめ

さて総括すると

・広いTaxsis Worldの中で

・極力部屋に影響を受けずに

・解析を行わない段階(聴感)で、ある程度音源の良し悪しの判別を行いたい

というのがサブシステムの存在意義です。



実際にHD-1とMPS-5410はスタジオユースの製品である為、かなり意図に則した運用できてると思います。


実際にCritical Distanceを意識してスピーカーとリスニングポジションのレイアウトを決定するのはRT60とOn/Off - Axisの特性を算出しなくてはいけないので、敷居は正直高いです。


なので、今回のサブシステムの様なある意味”音を見る”スタジオユース的な聞き方をしない限りは考えなくても大丈夫です(笑)







今回は以上!

次はオーディオマニア的な、トランスポート含む上流の入れ替えと、それによって生じた聴感の変化について書きま〜す!














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